暗闇レストランをベトナムで体験! 「食べる」ということの概念が変わる【noir.(ノワール)】

ベトナム・ホーチミン市でトリップアドバイザーのレストラン部門1位の【noir.】。真っ暗闇の中で食事をするという謎多きレストランに突撃してきました。 ホーチミン市1位のレストランの全貌を探ります 視覚以外の感覚をフルに使う食事 見えないものを食べるという初めての感覚 想像を掻き立てる暗闇  トリップアドバイザーで、ホーチミン市のレストラン1位を誇る【noir.】。店名は、フランス語で「黒・暗黒・正体不明」などの意味をもつように、暗闇の中で食事をするという謎に包まれたレストランだと聞きます。一体どんなものを食せるのか、実際に行ってみました。 正面入り口は、白を基調としたシックな装い。ここまでは単にオシャレな建物ですが・・・ ホーチミン中心部の北、通りから路地を少し入ったところに位置する店に入ると、まず広いエントランスルームに案内されます。ウェルカムドリンクの果実酒を1杯いただきながら、これからの食事の流れやアレルギーのチェックなど、英語で説明がなされます。メニューは3種。『East(東洋)』、『West(西洋)』、『Vegetable(野菜)』のコースがあり、私は、『West』の料理の旅に出ます。  そして、次に出てきたのは、アイマスクと簡単な木のパズル。そう、暗闇で食事をする前に、見えないところで物を触るという疑似体験をするのです。やってみて驚いたのは、見えていたら一瞬で終わるようなパズルも、アイマスクをつけただけで難題と化すこと。これは手ごわい・・・。 9種の形のピースを型にはめる簡単なパズルもアイマスクをして行うと、知恵の輪並みの難題に パズルを完成させると、ロッカールームに全ての荷物を預けて施錠します。暗闇のダイニングルームに持っていくは、自分自身とロッカーの鍵だけ。身ひとつになり、いよいよ暗闇へ移動します。  席へと案内してくれたのは、盲目のスタッフでした。視覚のある世界では、見える人が見えない人のサポートするのが当たり前ですが、暗闇では逆です。見える人が見えない人に助けられます。  スタッフの肩に手を添え、席まで案内してもらうと、見渡す限り黒い世界が広がります。目を閉じた時でさえ感じたことがない暗闇。どこに椅子があるのか、テーブルがあるのか、店員がいるのかさえ、全くわかりません。 エントランスルームまでは英語での対応でしたが、暗闇のレストラン内では日本語で対応してもらいました。「前菜をお持ちしました。右上から時計回りに4種お食べ下さい」と指示を受けます。スタッフが教えてくれる情報以外は当然何もわかりません。視覚を失うことで、こんなにもわからないことが増えるのか、と改めて実感します。  その代わりに、いつもはあまり気にしない「音」や「匂い」にとても敏感になっていることに気づきました。器の温かさ、フォークを刺すときの感触、ゴクリという喉を通る音、そんな当たり前のことがとても面白く新鮮です。  前菜に続き、スープ4種、メイン4種、デザート3種が運ばれてきます。どれも見えないけれど、ベトナムの食文化を交えた創作アジア料理といったところでしょうか。とても美味しかったことは、暗闇でもわかります。  携帯電話をいじることも、隣のお客さんの何かしらが気になることもありません。ただ淡々と料理の「味」に集中し、どんな料理を食べているのか想像を膨らませます。その味や様子を共感するべく会話する、そんな当たり前のことが精一杯楽しめる空間です。  食事が終わるとエントランスルームに戻ります。  いつもの「見える世界」は、明るすぎてまぶしすぎて、なんだか「見えすぎている」という感覚にとらわれます。  最後に、珈琲とクッキーをいただきながら、iPadの写真で今日食した全料理の答え合わせをします。例えば、チーズケーキだと思っていた料理は、実はティラミスでした。牛肉だと思っていた食材は、兎肉でした。想像と実際の料理との見た目や材料のギャップに驚きながら、【noir.】での食事はゆっくりと幕を閉じました。 「食べる」こと、「見える」こと。普段当たり前だと思っていたそれらが、いかに面白いことであるかを体験をもって深く考えさせられます。その意味で、レストランの領域を越えたレストランが、そこにありました。 noir. dining in the dark 営業時間 ランチ 11:30‐14:30 ディナー 17:30‐23:00 (ラストオーダー 21:30) 電話番号: +84 8 6263 2525 email:saigon@noirdininginthedark.com Lane 178 Hai Ba Trung Street, Da Kao Ward, District 1, Ho Chi MinhCity,...